モメンタム(Momentum)は、
FXや株式などの相場において「価格の勢い」を測定するテクニカル指標です。特に、相場の加速・減速・反転の兆候を数値化できることから、トレンドの初動や転換点を捉えるのに適しています。
モメンタムの計算方法、シグナルの見方、戦略的な使い方、注意点などを初心者にもわかりやすく解説します。
モメンタムとは?勢いを視覚的に捉えるインジケーター
モメンタムとは、ある一定期間における価格の変化幅を計算し、価格変動のスピードや加速度をグラフ化したオシレーター系の指標です。
上昇・下降どちらのトレンドにも使えるほか、他のインジケーターと組み合わせることで、トレード精度の高いエントリーポイントや利確ポイントを特定することができます。
モメンタムの計算方法と仕組み
モメンタムは非常にシンプルな計算式で構成されます。主に2つのバリエーションがあります。
▶ 価格差ベース(一般的)
textコピーする編集するMomentum = 現在の終値 - n期間前の終値
この計算式では、基準はゼロラインになります。
▶ 価格比率ベース(パーセンテージ型)
textコピーする編集するMomentum = (現在の終値 ÷ n期間前の終値) × 100
この場合は、基準が100ラインになります。
モメンタムの設定期間と使い分け
期間 | 特徴 |
---|---|
5〜10期間 | 反応が速く、短期向け。ただしダマシが多い |
10〜14期間 | 一般的な設定値。バランスがよい |
20期間以上 | 遅い反応だが、信頼性は高く中長期向け |
自分のトレードスタイル(スキャルピング・デイトレ・スイング)に応じて、適切な期間を選びましょう。
モメンタムの基本シグナル3選
1. ゼロライン(または100ライン)のクロス
- ゼロ(または100)ラインを上抜け → 上昇の勢いが増加(買いシグナル)
- ゼロラインを下抜け → 下降の勢いが強まる(売りシグナル)
2. モメンタムの方向転換
- 山を描いて下降へ向かう → 上昇トレンドの勢いが衰えてきた可能性
- 谷を打って上昇に転じる → 下落トレンドの勢いが弱まり反発する可能性
3. ダイバージェンス(逆行現象)
- 強気のダイバージェンス:価格が安値更新、モメンタムは上昇 → 反転の買いサイン
- 弱気のダイバージェンス:価格が高値更新、モメンタムは下降 → 反転の売りサイン
RSIやMACDと同様、ダイバージェンスはトレンドの転換点を見極める上で非常に有効なサインです。
モメンタムを使ったトレード戦略|順張り・逆張り対応

順張り戦略:ゼロラインのクロスを活用
- ゼロライン上抜け → 買いエントリー
- ゼロライン下抜け → 売りエントリー
移動平均線やMACDなどのトレンド系インジケーターと組み合わせ、トレンド方向とタイミングを確認してからエントリーすると精度が上がります。
逆張り戦略:ダイバージェンスで転換点を狙う
- 強気のダイバージェンス + ゼロライン上抜け → 買いシグナル
- 弱気のダイバージェンス + ゼロライン下抜け → 売りシグナル
※サポート・レジスタンスラインやローソク足パターンと併用すると、反転判断の確度が高まります。
モメンタムのストップロスと利確目安
- 損切り目安:ゼロラインを逆方向にクロスした時、または直近高値・安値を明確に抜けた場合
- 利確目安:モメンタムがピークを打った、谷を形成した、あるいは反対シグナルが出現したとき
モメンタムの注意点と限界
▲ ダマシが発生しやすい
特にレンジ相場ではゼロラインのクロスが頻発し、誤ったエントリーにつながる可能性があります。
対策:ADXやボリンジャーバンドなどと併用し、相場環境を把握したうえで判断しましょう。
▲ 固定基準がない(非限定型)
モメンタムにはRSIのような「70超え=買われすぎ」といった明確な閾値がありません。
対策:チャートの過去データからモメンタムのピークと谷の傾向を把握して、目安として活用します。
▲ 遅延性がある
モメンタムはn期間前との比較のため、タイムラグが生じることがあります。
対策:**MACDなどのトレンド系指標と組み合わせて、エントリーポイントの精度を補完しましょう。
まとめ|モメンタムで相場の勢いを読み、精度の高いトレードを実現
モメンタムは「価格の勢い」にフォーカスしたインジケーターであり、シンプルな計算式でありながら高い実用性を備えています。
- 順張りではゼロラインクロス
- 逆張りではダイバージェンス
- 他指標との組み合わせで判断の精度アップ
という使い分けを意識することで、初心者でも無理なくトレードに組み込むことができます。
まずはデモ口座でモメンタムを使ったチャート分析に慣れ、自分のトレードスタイルに合った設定や戦略を見つけていきましょう。