Volumes(出来高)とは、
FXトレーダーの「参加の熱量」や「勢い」を視覚的に把握するための非常に重要なインジケーターです。特に、ブレイクアウトの信頼性を見極める判断材料や、トレンド継続・転換のサインとして活用されます。
株式市場と異なり、FXでは実際の取引量は公開されていないため、「ティック出来高(Tick Volume)」が主に使われます。本記事では、ティック出来高の仕組みから、具体的な見方、戦略的な使い方、注意点までを詳しく解説します。
出来高(Volumes)とは?ティック出来高の仕組みを理解する
▶ FXにおける出来高の定義
FXチャートに表示される「出来高」とは、**価格が動いた回数(ティック数)**をカウントしたものであり、「取引の量(ロット数)」ではありません。
- ティック出来高とは?
1分足で価格が15回変動した場合、ティック出来高は15とカウントされます。
つまり、実際の売買数量ではなく、「値動きの活発度」を示す指標です。
このため、ティック出来高は相場の「盛り上がり具合」や「注目度」を把握するうえで非常に有用です。
出来高と価格の関係性|基本的な読み取り方
価格の動き | 出来高の変化 | 解釈 |
---|---|---|
上昇 | 増加 | 買いの勢いが強い → トレンド継続の可能性 |
下降 | 増加 | 売り圧力が強い → 下落継続の可能性 |
上昇/下降 | 減少 | トレンドの勢いが弱まっている → 転換の兆候 |
横ばい | 低水準 | トレーダーの関心が薄い → ブレイク待機中 |
価格と出来高の同方向性の強さを見ることで、「トレンドが本物かどうか」を判断することができます。
出来高を使ったFXトレード戦略3選
① ブレイクアウトの信頼性を確認する
レンジ相場や重要なサポート・レジスタンスラインを突破したとき、出来高が急増していれば、そのブレイクは信頼性が高いと判断できます。
- 出来高急増 + 陽線の高値ブレイク → 買いエントリー
- 出来高急増 + 陰線の安値ブレイク → 売りエントリー
NGパターン: 出来高が少ないままのブレイクはダマシの可能性が高いため注意。
② トレンドの健全性を見極める
- 価格が新高値(新安値)を更新し、出来高も増加 → トレンドは健全に続いている
- 価格は伸びているのに、出来高が減少 → トレンドのエネルギーが弱まりつつある
このように、価格と出来高のバランスを見て、トレンドに勢いがあるかどうかを確認できます。
③ 転換点のシグナルとして活用する
▼ クライマックス出来高
- 急激な値動きとともに異常な出来高が発生した場合、「トレンドの燃え尽き=転換」の兆候となることがあります。
例:
- 上昇トレンドのピークで大陽線&高出来高 → 反落の前兆
- 下降トレンドの底で大陰線&高出来高 → 反発の兆候
▼ 出来高ダイバージェンス
パターン | 解釈 |
---|---|
価格が高値更新 → 出来高が減少 | トレンド弱体化 → 売りサイン |
価格が安値更新 → 出来高が減少 | 反発の兆し → 買いサイン |
価格と出来高の逆行は、転換を示唆する強力なシグナルになることがあります。
利確・損切りへの応用方法
✔ 利確のタイミング
- 出来高が明らかに減少し、ローソク足の勢いが弱まるとき
- クライマックス出来高が出現し、その後価格が反転し始めたとき
✔ 損切りの判断
- エントリーとは逆方向に出来高を伴うローソク足が出現した場合
- 大量の出来高とともに相場の流れが急変したとき
出来高の増減は、市場心理の変化を表すため、ポジション管理にも活かせます。
Volumes(出来高)を使う際の注意点と限界
注意点 | 補足説明 |
---|---|
ティック出来高は実取引量ではない | あくまで「価格の変動回数」のカウント。実際のロットは含まれていない |
トレンド中のダマシ | 経済指標やニュースなどで一時的に出来高が膨らむことがある |
単独では信頼性が弱い | 他のテクニカル指標(移動平均線、RSI、MACDなど)と併用が有効 |
ティック出来高は万能ではありませんが、「その瞬間の熱量」を知るうえで非常に有用なツールです。
まとめ|出来高は「勢いの可視化ツール」としてトレードに活かすべし
- ティック出来高は実際の売買量ではないが、相場の活発度・熱量の変化を的確に捉えられる
- ブレイクアウト、トレンド継続、転換点の判断に幅広く使える
- 単体よりも、他のテクニカル指標(MA・RSI・パターン分析など)との組み合わせがベスト
「未来を予測する道具」ではなく、その瞬間、市場にどれだけの熱がこもっているかを測る指標です。特に中級者以上のトレーダーにとっては、トレンドの信頼性やエントリーポイントの補強として非常に頼れる情報源となるでしょう。