On Balance Volume(OBV)は、
価格と出来高の動きを組み合わせて相場の「隠れた勢い」を読み解くためのインジケーターです。1963年にジョセフ・グランビル氏によって考案され、シンプルな構造ながら高い分析力を誇ります。
本記事では、OBVの基本的な仕組みからFXにおける使い方、実践戦略、注意点までを初心者〜上級者向けに解説します。
シンプルで強力な出来高インジケーター
▶ OBVの基本概念
OBV(On Balance Volume)は、価格と出来高の相関関係を分析し、「買いと売りの勢力バランス」を可視化するインジケーターです。株式市場では主に実際の出来高を使いますが、FXでは代替として**ティック出来高(価格変動の回数)**を使用します。
▶ OBVの計算ルール
- 前日の終値より価格が上昇 → 当日の出来高をOBVに加算
- 前日の終値より価格が下落 → 当日の出来高をOBVから減算
- 価格が変わらない → OBVは変化なし
OBVの“値そのもの”よりも、上昇傾向か下降傾向か(傾き)を重視するのが基本です。
OBVの特徴とFXでの有効な使い方
累積型でトレンドの強弱がわかる
OBVは出来高を日々累積していくため、トレンドの勢いや持続性を視覚的に判断しやすくなります。上昇トレンド中にOBVが右肩上がりであれば、買い勢力が持続している証拠になります。
トレンドの先行指標になりやすい
「グランビルの法則」によると、出来高は価格に先行する傾向があります。つまり、OBVが先に変化することで、価格の変動を事前に察知できる可能性があるのです。
OBVの売買サインの読み方|2大シグナルに注目
① トレンド確認シグナル
価格とOBVが同じ方向に動いていれば、トレンドが健全に機能しているサインとなります。
- 価格が上昇中+OBVも上昇 → 買い圧力が強い
- 価格が下降中+OBVも下降 → 売り圧力が強い
トレンドフォロー型戦略で重要な判断基準になります。
② ダイバージェンスシグナル(価格とOBVの乖離)
価格とOBVが逆の方向に動いているとき、トレンドの終焉や反転の兆しとされます。
- 強気のダイバージェンス(買いシグナル)
価格が安値更新 → OBVは安値更新せず上昇 → 反発の可能性 - 弱気のダイバージェンス(売りシグナル)
価格が高値更新 → OBVは高値更新せず下降 → 反落の兆し
※ダイバージェンスは単体で判断せず、他のインジケーターと組み合わせると精度が上がります。
OBVを使った実践FX戦略3選
戦略①:トレンドフォロー型(順張り)
- OBVが価格と同方向に動いている → トレンドの信頼性が高い
- 押し目買いや戻り売りを狙う場面で、OBVがトレンドを後押ししているかを確認
MACDや移動平均線との併用でエントリー精度UP!
戦略②:逆張り型(ダイバージェンス活用)
- OBVが価格と逆方向に動いているとき、トレンド終了のサイン
- ローソク足パターン(ピンバー・包み足など)やサポート・レジスタンスと組み合わせると効果的
特に天井圏・底値圏でのダイバージェンスは要注目。
戦略③:OBVラインのブレイクに注目
- OBVの動きにトレンドラインを引いておく
- ライントレンドのブレイクを確認 → 価格の転換を先読み
価格チャートに先行する動きを示すことがあるため、早期エントリーの判断材料として活用できます。
OBVの注意点と弱点|補完的な視点を忘れずに
⚠ FXではティック出来高を使用
- 実際の売買量ではなく、価格が動いた「回数」をカウントしたもの
- 精度は株式や先物より劣るため、過信せず他指標と併用が必須
⚠ ダイバージェンスは確定シグナルではない
- OBVに限らず、逆行現象(ダイバージェンス)は兆候にすぎない
- RSI・MACD・CCIなどと組み合わせて「複合判断」することで信頼性アップ
⚠ レンジ相場では使いにくい
- トレンドが明確でない場面ではOBVも横ばいに
- トレンドフォロー型の戦略に特化して使うのがベター
まとめ|OBVは「見えない勢力」を可視化するインジケーター
OBVは、ローソク足や移動平均線だけでは見えない「買い・売りの本質的な圧力」を捉える強力なツールです。
- 価格と出来高が同調しているか → トレンド判断
- 価格と出来高が逆行しているか → 転換シグナルのヒント
- 先行的な動きを活用 → ブレイクや反転を早期察知
とはいえ、OBVは単体で使うのではなく、他のテクニカル指標やローソク足分析と組み合わせて、トータルで相場を捉える姿勢が求められます。
「見えない市場の力」を味方につけるために、OBVをぜひ戦略に組み込んでみましょう。