STANDARD DEVIATION(標準偏差)とは
FXや株式市場で勝率を上げたいと考えるなら、価格の変動幅(ボラティリティ)を正しく把握することが極めて重要です。そのために活用されるのが「Standard Deviation(SD/標準偏差)」です。
RSIやMACDのように直接売買シグナルを出すわけではありませんが、相場の勢い、トレンドの持続性、ブレイクアウトの兆候、そしてリスクの度合いを読み取る上で非常に有用なテクニカル指標です。
1. 基本構造と特徴を理解しよう
● 標準偏差の定義と目的
標準偏差(Standard Deviation)とは、**価格が平均値からどの程度散らばっているか(ばらつき)**を数値で表す指標です。これは統計学に基づいた概念であり、「相場の静けさ」や「勢いの高まり」を視覚的に判断できるツールです。
- 数値が大きい → 相場が激しく動いている(高ボラティリティ)
- 数値が小さい → 相場が落ち着いている(低ボラティリティ)
● 簡易的な計算ステップ
- n期間の終値から**単純移動平均(SMA)**を計算
- 各終値とSMAの差を出す
- 差を二乗して平均を取る(これを「分散」と呼ぶ)
- 分散の平方根を取る → これが「標準偏差(SD)」
● 特徴まとめ
特徴 | 内容 |
---|---|
ボラティリティ指標 | 高いほど変動が大きい。低いほど価格の振れ幅が小さい。 |
常に正の数値 | 負の値はなく、0以上の正の数値のみ。 |
トレンド補助機能 | SDが急上昇する場面ではトレンド発生の可能性がある。 |
2. 標準偏差の使い方|ボラティリティからチャンスを掴む
● SDが上昇する場面
- 相場が急変する兆候
- 新たなトレンドが発生しはじめる局面
- 大きな値動きにより、リスクもチャンスも拡大する状態
● SDが下降する場面
- トレンドの終息、または相場が落ち着いた状態
- レンジ(持ち合い)相場の可能性が高い
- ブレイクアウトの「前兆」として静かな状態が続くこともある
● ボラティリティ・サイクルの理解
相場は「低ボラ → 高ボラ → 再び低ボラ」というサイクルを繰り返します。
SDが極端に低下しているときは、次に大きな相場変動が起きる準備段階かもしれません。
3. 標準偏差を使ったトレード戦略|実践的な3つの活用法
(1). フィルターとしての活用
MACD・移動平均線などのトレンド系インジケーターと組み合わせて使うことで、トレンドの「強さ」を補足するフィルターとして活躍します。
- SDが上昇中:トレンドが勢いづいている → 順張り戦略に適した局面
- SDが低下:トレンドの信頼性が落ちる → 様子見 or レンジ狙いに切り替え
また、逆張り派のトレーダーであってもSDが高い=大きく逆行する可能性があるため、無理な逆張りは避ける判断材料になります。
(2). ブレイクアウト戦略の補強材料として
- SDが急上昇している+価格がレンジを突破 → 強いブレイクアウトの根拠
- SDが低いままのブレイク → 偽のシグナル(ダマシ)である可能性
トレンドの継続を狙う戦略と相性が良く、エントリータイミングの補完として優秀です。
(3) リスク管理に応用する
SDをリスク管理の指標として使う方法もあります。
- SDが高い → 相場の変動が激しい → 損切り幅を広く、またはロットを減らす
- SDが低い → リスクが小さい → 損切り幅を狭く設定しやすく、ロット調整が可能
特にスキャルピングや短期トレードでは、変動幅に応じたポジション調整がリスク回避に直結します。
4. 標準偏差を用いたストップロス&利確の目安
● ストップロスの判断
- SDが急変したときは、相場の勢いが大きく変わったサイン → 損切り判断の目安に
- ボリンジャーバンド(SDを応用した指標)との併用でより明確な判断が可能
● 利食いの目安
- トレンド中にSDがピークアウト(上昇後に下降)しはじめたとき
- 相場の勢いが弱まりつつあるため、利確を検討するタイミングとして有効
5. 標準偏差の注意点と限界|盲信は禁物!
項目 | 内容 |
---|---|
単体使用は非推奨 | 方向性は示さないため、MACDや移動平均などと組み合わせることが前提。 |
経済指標での急変動に弱い | 突発的なニュースでSDが暴騰/暴落する可能性がある。 |
設定期間により挙動が変わる | 短期は敏感(ノイズ多)、長期は滑らか(反応が鈍い)。 |
SDが低くても油断は禁物 | 静かな相場の裏に、次の「爆発」が隠れていることも。 |
まとめ|標準偏差で「相場の本気度」を見極めろ!
Standard Deviation(標準偏差)は、RSIやMACDのような直接的な売買サインを出すわけではありませんが、「相場の静と動」「勢いの強さ」「リスクの大きさ」を測定できる極めて実践的なインジケーターです。
売買の判断ではなく、「今の相場は本気で動いているのか?」「まだ静けさの中にあるのか?」といった相場の性質を見抜くための補助ツールとして、極めて優れています。
FX初心者にもおすすめですが、単体での使用は避け、他のテクニカル指標と併用することで真価を発揮します。