Market Facilitation Index(MFI/市場促進指数)とは
ビル・ウィリアムズが考案した出来高系インジケーターで、「価格の動きに対して、どれだけ市場が活性化しているか」を数値化するものです。
価格だけでは読み取れない、「相場の熱量」「力強さ」を見極めるためのツールであり、特にトレンドの開始、持続、または終焉の兆しをつかむ上で役立ちます。
一見地味な指標ではありますが、相場の真理(勢いの裏付け)を読む上で非常に強力です。
MFIとは?構造と計算式
MFIは価格と出来高の関係性に注目したシンプルな数式で導出されます。
MFI = (高値 − 安値) ÷ 出来高
この数式により、1ティックあたりに価格がどれだけ動いたかが分かります。つまり、同じ価格変動でも、出来高が多ければ効率が悪く、少なければ効率が良いと判断されます。
Xなどでは「ティックボリューム」(価格変動の回数)を出来高として使用するため、株式市場のような実取引量とは異なります。
MFIの4種類の市場状態と色分けの意味
MFIは、数値そのものではなく、「前回比の変化」と「出来高の増減」を組み合わせることで、以下の4種類の市場状態に分類されます。
状態 | 条件 | 相場の意味・トレード戦略 |
---|---|---|
肥大化(緑) | MFI↑ + 出来高↑ | トレンドの発生・加速 → 順張りエントリーに好機 |
衰退(茶) | MFI↓ + 出来高↓ | 市場の停滞・ボラティリティの低下 → 様子見・利確に最適 |
潜水(青) | MFI↓ + 出来高↑ | トレンド転換の兆候 → 警戒レベル引き上げ |
飛び立ち(ピンク) | MFI↑ + 出来高↓ | フェイクの可能性 → エントリー見送り or 利益確定推奨 |
この分類は、現在のトレンドの本気度を把握する上で非常に有用です。
MFIの基本的な見方とシグナル解釈
トレンド判断の基準
- 肥大化(緑):価格が大きく動き、出来高も増加 → トレンド発生・継続のサイン。
→ 積極的なエントリーを検討。
- 衰退(茶):価格の動きが鈍化し、出来高も減少 → レンジ化・調整局面の可能性。
→ ポジション縮小・利確が選択肢。
⚠ 転換・注意シグナル
- 潜水(青):価格の動きは鈍化しているのに出来高は増加 → 大口(スマートマネー)の仕込み、転換準備。
→ エントリー前の警戒。 - 飛び立ち(ピンク):価格が急変動しているが出来高は伴っていない → ダマシの可能性大。
→ エントリーは見送り、ポジション調整を検討。
実践戦略:MFI × 他のビル・ウィリアムズ系指標と組み合わせる
①. AlligatorやAOとの併用で精度UP
ビル・ウィリアムズが提唱する「複数インジケーターの組み合わせ」によって、相場の解像度は格段に上がります。
- Alligatorの口が開く(トレンド発生)
- AO(Awesome Oscillator)がゼロラインを上抜け(モメンタム増加)
- MFIが緑バー(勢いと出来高の一致)
②. 押し目買い・戻り売り判断に使う
トレンド中の一時的な調整局面で:
- MFIが「青」や「茶」になる → 調整・静観
- 再び「緑」に変化 → 押し目・戻り売りチャンス!
MFIはトレンドの復活サインとしても機能します。
③. ブレイクアウトの信頼性チェック
ブレイク直後に「MFIが緑(肥大化)」であれば、本物のブレイクアウトの可能性が高まります。
逆に、MFIが「ピンク(飛び立ち)」や「茶(衰退)」なら、フェイクブレイクの疑いが強くなります。
ストップロス&利確判断の補助としてのMFI
状態変化 | トレードアクションの目安 |
---|---|
緑 → 青 or ピンク | 利益確定 or 様子見(勢いの失速) |
青 or ピンク → 緑 | 新規エントリーを検討(トレンド復活) |
青が継続 | トレンド転換の前兆 → ポジション縮小・ヘッジ対応 |
注意点と限界
❗ ティック出来高の限界
FXでは「出来高」が正確な約定量ではなく、「ティック数」(価格変動回数)で代用されています。
したがって、厳密な取引量の解析には向きません。
❗ 単独使用は非推奨
MFIは方向性そのものを示すわけではないため、「補助指標」としての役割に留めましょう。
Alligator、AO、Fractals、トレンドラインなどと組み合わせることが前提です。
❗ 色分けの主観性とカスタム設定
MFIの4色分けはインジケーターの設計次第で色や数値が異なる場合があります。
インジケーターの内部ロジックを把握し、複数チャートで比較検証することが大切です。
まとめ:MFIは相場の「熱量」を測る体温計
Market Facilitation Index(MFI)は、価格と出来高のバランスから“相場の本気度”を可視化するツールです。
- 単体では方向性はわからないが、勢いの裏付けができる
- トレンドの継続・終了・転換のヒントを得られる
- ビル・ウィリアムズ流の指標(Alligator・AOなど)と相性が抜群
特に「トレンドが本物かどうか」を見極めたいときには、MFIは大きな助けとなります。
価格が動いていても出来高が伴っていない場合、その動きには注意が必要です。
相場の裏側を読み解く“第2の視点”として、MFIをぜひ活用してみてください。