


AMAはどんなインジケーター
上のチャートのように、AMA(アダプティブ・ムービング・アベレージ)は相場のトレンド強弱に応じて滑らかさ(遅さ)を自動調整する移動平均線です。
レンジではゆっくり=ノイズをスルー、トレンドが走ると素早く追随=遅行を縮めるのが最大の特徴。多くの版では上昇時は明るい色、下降時は暗い色などで傾きを可視化します。
AMAの仕組み
Perry Kaufmanの考案が有名です。核となるのはER(Efficiency Ratio:効率比)で、期間内の“純粋な進み幅”と“総移動量”の比を取ります。
- ER = |Price(t) − Price(t−N)| ÷ Σ|Price(i) − Price(i−1)|(i=t−N+1…t)
- ER ≈ 1:一直線に進んだ=強いトレンド
- ER ≈ 0:行って来い=ノイズ多い
このERで平滑係数(SC)を 速いSC(Fast)〜遅いSC(Slow)の間で補間し、
AMA(t) = AMA(t−1) + SC × (Price(t) − AMA(t−1)) で更新します。
→ トレンドが強い時はSC↑でAMAが速く動き、レンジではSC↓で滑らかになります。
インジケーターの基本的な見方
- AMAが価格の下&右上がり:上昇優位(押し目狙い)
- AMAが価格の上&右下がり:下降優位(戻り売り)
- AMAの向きが水平:レンジ。順張りは慎重に
- 色(ドット)の反転:転換の初期合図(確定足で判断)
パラメーター設定&解説

パラメーター | 初期値 | 和訳 | 解説・調整のコツ |
---|---|---|---|
periodAMA | 9 | AMAの基本期間(ER参照本数) |
短いほど感度↑(ノイズ増)、長いほど安定↑(遅め)。 目安:M5–M15=9–14、M30–H4=14–20。 |
nfast | 2 | 最速側の平滑期間 |
強トレンド時の“最速”反応。 係数は概ね SCfast = 2/(nfast+1) 相当。
|
nslow | 30 | 最遅側の平滑期間 |
レンジ時の“最遅”反応でノイズを抑制。 係数は概ね SCslow = 2/(nslow+1) 相当。
|
G | 2.0 | ゲイン(感度倍率) |
ERから算出した平滑係数に掛ける増幅。 値↑=追随が速い/ノイズ拾いやすい、値↓=より滑らか。 |
dK | 2.0 | 減衰(ダンピング)係数 |
AMAの曲がり方・落ち着きを調整。 値↑=より滑らか、値↓=キビキビ(荒れやすい)。 |
実戦で使える4つの戦略
戦略A|AMA傾き×ブレイク(王道の順張り)
- AMAが明確に右上がり(右下がり)へ反転
- 直近の高値(安値)ブレイク確定でエントリー
- SL:AMAの反対側 少し外 or ATR(14)×1.0
- TP:次の節目 or R=1.5〜2.0
→ ブレイクだけよりダマシが減り、出遅れも抑えられます。
戦略B|AMA回帰の押し目・戻り目拾い
- トレンド方向を上位足で固定(200EMAの傾きなど)
- 価格がAMAに回帰 → 反発足で順張りエントリー
- SL:AMAの向こう側、TP:直近高安/前回スイング
戦略C|AMAクロスの“セミ反転”
- 価格がAMAを終値で反対側へ抜ける+AMAの色/傾きが追随
- クロス直後は利確浅め、リテスト確認後に本玉
戦略D|AMAをトレーリングストップに
- 含み益が乗ったら、ロング=AMA割れで部分/全決済(ショートは逆)
- ダラダラ戻しに付き合わず、走る時だけ伸ばす運用に最適
相性の良い補助指標
- ATRStops / Supertrend:追随ストップ強化
- Damiani / ADX(>20):ボラが低い時間帯を排除
- ピボット/前日高安:ブレイク目標の設定
- 出来高(Tick):ブレイク時の裏付け
項目 | スキャ/M5–M15 | デイ/H1–H4 | ポイント |
---|---|---|---|
ER期間 (N) | 10–14 | 14–20 | 短いほど感度↑、長いほど安定↑ |
Fast / Slow | Fast=2 / Slow=30 | Fast=2 / Slow=50 | 遅延とノイズのバランスを最適化 |
価格種別 | Close / HL2 | Close / HL2 | HL2はノイズを少し抑制 |
よくある失敗と対策
- 未確定足での色反転に飛び乗る → 確定足で判定。
- AMAが水平のままエントリー → 傾き(角度)と上位足の方向を要確認。
- レンジでの往復 → Damiani/ADXで“動く相場だけ”採用。
- 損切が遠い/近い問題 → AMA ± ATR×係数で標準化し、銘柄ごとに最適化。
まとめ
AMA(Adaptive Moving Average) は、ER(効率比)で動的に滑らかさを変える移動平均。
レンジでノイズを抑え、トレンドで遅れを縮めるため、順張りの押し目・戻り目やブレイク追随、トレーリングに相性抜群です。
確定足・傾き・上位足方向の3点を守り、ATRStops・ADX/Damianiと組み合わせると勝率とRRの両立がしやすくなります。