はじめに
FX(外国為替証拠金取引)を始めると、必ず目にするのがスワップ(Swap)、スプレッド(Spread)、手数料(Commission)の3つのコスト要素です。
これらはトレード成績に直接影響するため、正しい理解が欠かせません。

この記事では、
- スワップ・スプレッド・手数料の違い
- 計算方法と発生条件
- コストを減らす取引戦略
を、初心者でも分かるように徹底解説します。
スワップ(Swap)とは
1 スワップの定義
スワップとは、通貨ペアを保有したまま日をまたぐ(ロールオーバー)際に発生する金利差調整額のことです。
通貨ごとの政策金利差に基づき、受け取ることもあれば支払うこともあるのが特徴です。
2 スワップの仕組み
FXは2つの通貨を売買するため、常に「高金利通貨」と「低金利通貨」の組み合わせになります。

画像引用:財務省
- 高金利通貨を買い/低金利通貨を売る → スワップ受け取り
- 高金利通貨を売り/低金利通貨を買う → スワップ支払い
3 スワップの計算例(ドル円)
仮に米国の金利が5.0%、日本の金利が0.1%の場合:
- ロング(買い):高金利(USD)を買う → スワップ受け取り
- ショート(売り):低金利(JPY)を買う → スワップ支払い
4 スワップのメリット・デメリット
メリット
- 長期保有でスワップ益を狙える
- トレードせずに金利収入を得られる
デメリット
- 逆方向のスワップは損失になる
- 金利差は経済状況で変動する
スプレッド(Spread)とは
1 スプレッドの定義

画像引用:DMM FX
スプレッドは、売値(Bid)と買値(Ask)の差を指します。
FXではこれが事実上の取引コストとなります。
2 スプレッドの例
ドル円が以下の場合:
- Bid(売値):150.000
- Ask(買値):150.002
スプレッド = 0.2pips
3 スプレッドの種類
- 固定スプレッド:相場状況に関わらず一定
- 変動スプレッド:相場の流動性により広がる/縮む
4 スプレッドが広がるタイミング

- 経済指標発表直後
- 早朝や市場参加者が少ない時間帯
- 急変動時
5 スプレッドを抑えるコツ
- 流動性が高い時間帯に取引する
- スプレッドの狭い口座タイプを選ぶ
- 不必要にポジションを頻繁に建てない
手数料(Commission)とは
1 手数料の定義
FX業者によっては、スプレッドに加えて取引手数料が発生します。
特にECN口座やプロ口座では、スプレッドが極端に狭い代わりに手数料がかかるケースが多いです。
Electronic Communication Network(電子取引ネットワーク)の略で、
FX取引においてトレーダーと銀行・証券会社・流動性プロバイダー(LP)を直接つなぐ口座タイプのことです。
2 手数料の計算例
例:1ロットあたり片道3ドルの手数料
- 往復(新規+決済)で6ドル
- ドル円が150円なら、約900円
3 手数料が発生する口座タイプ
- ECN口座
- プロ向け口座
- 一部の低スプレッドアカウント
3つのコスト比較表
項目 | 発生タイミング | 主な特徴 | 受け取りの可能性 |
---|---|---|---|
スワップ | 日またぎ | 金利差調整 | あり(高金利通貨買い) |
スプレッド | 取引時 | 売値と買値の差 | なし |
手数料 | 取引時 | 固定額または割合 | なし |
コストを抑える取引戦略
- 短期取引ならスプレッド重視
→ スキャルピングは低スプレッド口座が有利 - 長期保有ならスワップ重視
→ 高金利通貨のロングで金利益を狙う - 手数料型口座はロット単価で比較
→ スプレッド+手数料の合計が安い業者を選ぶ
よくある質問(FAQ)
- スワップは毎日同じですか?
-
変動します。政策金利や為替状況によって変わるため、定期的な確認が必要です。
- スプレッドは広がると損ですか?
-
はい。建値が遠くなるため、損益分岐までの距離が広がります。
- 手数料型口座は損ですか?
-
必ずしも損ではありません。スプレッドが非常に狭ければ、トータルコストは低くなります。
まとめ
- スワップ:金利差調整額。長期保有に影響大
- スプレッド:売値と買値の差。短期取引で重要
- 手数料:口座タイプによって発生。低スプレッドとセットで考えるべき