

ATR Probability Levelsとは
上位時間足の ATR(Average True Range:平均的な値幅) を基準に、
現在価格から ±0.5ATR / ±0.75ATR / ±1.0ATR / ±1.25ATR / ±1.5ATR … といった到達しやすい価格帯を水平ラインで描くインジケーターです。
スクショのように、上はレジスタンス候補(赤点線)、下はサポート候補(緑点線)として階段状に表示。
「今日(今の4時間)でどこまで動きやすいか?」を事前に地図化できるため、利確・指値・逆指値の根拠が明確になります。
インジケーターの仕組み
- 指定の参照時間足(例:H4)でATRを計算
- 現在の基準価格(通常は直近のH4始値 or 現在値)から、
- +0.50×ATR, +0.75×ATR, +1.00×ATR, … を上側レベルとして、
- −0.50×ATR, −0.75×ATR, −1.00×ATR, … を下側レベルとして描画
- ラベルに 「4 hours ATR×1.00(価格)」 のように時間足×倍率×価格を表示
統計的背景:
ATRは過去の「平均移動幅」。
経験則として ±1.0ATR までの到達確率は比較的高く、±1.5ATR 以遠は“拡張(トレンドやイベント)”が必要。
この性質を事前の利確・逆指値設計に活かします。
インプット設定&解説

ATR Probability Levels — インプット(和訳 & 解説)
| 項目(英 / 和) | 現在値 | 役割・解説 / 使いどころ |
|---|---|---|
| Timeframe for data 参照時間足 |
4 Hours | ATRを計算する上位足。例:デイトレは H1/H4、スイングは D1 が目安。ここで選んだ足のATRを基準に各レベルを描画します。 |
| ATR period ATR期間 |
21 | ATR(平均移動幅)を何本で計算するか。短い=敏感・日々の変化に追従、長い=安定・だまし減。まず 14〜21 から調整。 |
| Color for high levels 上側レベルの色 |
Crimson | +0.50ATR、+0.75ATR、+1.00ATR… のレジスタンス候補ラインの色。視認性の高い暖色系がおすすめ。 |
| Color for low levels 下側レベルの色 |
SeaGreen | −0.50ATR、−0.75ATR、−1.00ATR… のサポート候補ラインの色。上側と対になる寒色系にすると一目で判別可能。 |
| Unique ID for objects 描画オブジェクトID |
AtrLevels1 | ラインやラベルに付与する識別子。チャートに同インジの複数インスタンスを出す場合や、他の描画物と衝突させたくない場合に別のIDへ変更。 |
| Labels shift ラベルのシフト |
10 | 価格ラベルを右側へ何本分ずらして表示するか(視認性用オフセット)。値を大きくするとローソクから離れて重なりを回避できます。 |
活用のコツ
- 第一利確は ±0.75〜1.00ATR、伸ばすなら 1.25〜1.50ATR と分割設計。
- 逆指値は直近の逆方向側レベル外側に置くとヒゲで拾われにくい。
- 参照足を H1/H4(デイトレ)、D1(スイング)にして1週間観察→レベル密度と到達頻度をチューニング。
トレード戦略3選
1) 利確の“現実的な”目安にする
- 順張り:エントリー方向の ±0.75〜1.00ATR を第一利確、±1.25〜1.50ATR を伸ばす目標に。
- 逆張り:反転狙いでも ±0.50〜0.75ATR で素早く確定(平均回帰は伸びにくい)。
メリット:利確を**チャートの尺度(ATR)**に合わせるため、伸ばし過ぎ/早過ぎが減る。
2) 指値・逆指値の“コスパ”を判断
- 指値を 次のATRレベルの手前に置くと約定率↑
- 逆指値は 直近の逆方向側レベルの外側に置き、無駄なヒゲで引っかかりにくくする
例:買いなら「−0.50ATRの外」にSLを置く → “平均的な戻し”を許容しつつ、計画的な撤退ができる。
3) ブレイクの期待値評価
- 価格が ±1.0ATRに到達してなお強い → トレンド局面。
- ±1.5ATRを勢いよく抜くのはイベント/モメンタムのシグナル。
ここで押し目/戻りを待つ or 追従するかを、出来高・モメンタム系と合わせて判断。
| 戦略 | エントリー | 利確 | 損切 |
|---|---|---|---|
| デイトレ順張り(押し目/戻り) | 上位足方向に沿い、下位足でプルバック後の再上昇/再下落 | 第一:±0.75〜1.0ATR、第二:±1.25ATR | 直近スイング外+−0.50ATR外側 |
| 逆張り平均回帰 | ±1.0ATR到達後の失速・パターン(ピンバー/弱気包み等) | ±0.50〜0.75ATR | 直近極値の外++0.25〜0.50ATR |
| ブレイクアウト追随 | レンジ上/下+±1.0ATR到達・更新 | ±1.25〜1.50ATR(分割利確) | ブレイク基準内へ戻りで撤退 |
補助:ADX上昇/BB幅拡大/出来高増など、モメンタム確認を添えると期待値が安定。
取引の時間足別の指針
- スキャル(M1–M5):参照=H1。ノイズ多 → ±0.50–0.75ATR中心で回転。
- デイトレ(M5–M15):参照=H1/H4。第一利確 ±0.75–1.0ATR。
- スイング(H1–H4):参照=D1。±1.0–1.5ATRを節目に部分利確+トレール。
よくある質問
- どの倍率を表示すればいい?
-
まず 0.50 / 0.75 / 1.00 / 1.25 / 1.50。混雑するなら 0.75 / 1.00 / 1.50に絞る。
- レベル到達=必ず反転?
-
いいえ。“到達しやすさの目安”であり、反転の確定ではありません。プライスアクションや出来高で裏取りを。
リスク管理の型(ATRで一貫)
- 損切距離=
ATR × 0.5〜1.0 - ポジションサイズ=
口座リスク ÷ 損切距離 - 利確=
ATR × 0.75→1.0→1.5と段階分割+残りはATRトレール
すべてATR基準にそろえることで、銘柄や相場環境が変わっても一貫した意思決定ができます。
まとめ:ATR Probability Levelsで“届く価格”を設計する
- 上位足ATRから到達しやすい価格帯を階段表示
- 利確・逆指値・指値が「平均的な移動幅」に整合
- ブレイクの勢いや逆張りの無理目も直感的に判断
まずは参照H1/H4・ATR period 14–20/倍率 0.50–1.50で1週間観察。
自分の銘柄・時間足に合わせてレベルの間引きと利確分割の比率を微調整してください。










