Money Flow Index(MFI)とは、
価格と出来高(Volume)の情報を組み合わせて、相場の「資金の流入・流出」を視覚化するオシレーター系インジケーターです。見た目はRSIに似ていますが、出来高という要素が加わることで、より信頼性の高い売買シグナルが得られます。
この記事では、MFIの仕組みや計算方法、基本的なシグナルの読み方、戦略的な使い方、そして注意点までをわかりやすく解説していきます。
MFIとは?価格と出来高から相場の買い圧力・売り圧力を分析
MFI(Money Flow Index)は、価格と出来高の両方に注目することで、「買われている相場なのか、売られている相場なのか」という市場参加者の資金行動を読み解く指標です。
- RSIは価格だけを基にするのに対し、MFIは出来高の裏付けがある分、相場の勢いや信頼性を測ることに長けています。
- 0〜100の数値で推移し、「買われすぎ」「売られすぎ」のゾーンを持ちます。
MFIの計算方法と構造|ロジックを理解して信頼度アップ
MFIは以下のようなステップで算出されます。
▶ 計算ステップ
- TP(Typical Price)
= (高値 + 安値 + 終値) ÷ 3 - RMF(Raw Money Flow)
= TP × 出来高(Volume) - TPが前日より上昇 → Positive Money Flow(PMF)
TPが前日より下降 → Negative Money Flow(NMF) - MFR(Money Flow Ratio)
= PMF ÷ NMF - MFIの算出式
= 100 − [100 ÷ (1 + MFR)]
▶ MFIの基準ゾーン
- 80以上:買われすぎ → 反落の兆し
- 20以下:売られすぎ → 反発の兆し
※一般的には14期間(14本のローソク足)で計算されるのが標準です。
MFIの基本シグナルと見極め方
1. 買われすぎ・売られすぎからの反転
- MFIが80を超えて下降に転じたら → 売りシグナル
- MFIが20を下回って上昇に転じたら → 買いシグナル
→ RSIと似ていますが、出来高の伴ったシグナルであるため、逆張り戦略においてより高い信頼性が得られます。
2. ダイバージェンスによるトレンド転換予測
価格とMFIの動きが逆行する「ダイバージェンス」は、トレンド転換の強力な予兆です。
- 強気のダイバージェンス:価格は下落しているがMFIは上昇 → 買い
- 弱気のダイバージェンス:価格は上昇しているがMFIは下降 → 売り
💡 MACDやローソク足と組み合わせればさらに精度アップ。
MFIを使った具体的なトレード戦略3選
①. レンジ相場での逆張り戦略
MFIはレンジ相場で最も力を発揮します。上下限での反転を狙った逆張り戦略に適しています。
- MFIが80以上 → 下降に転じたら売りエントリー
- MFIが20以下 → 上昇に転じたら買いエントリー
RSI・ストキャスティクスとセットで使うと効果的です。
②. ダイバージェンス戦略
- MFIが価格と逆方向に動いている → ダイバージェンス発生
- このとき、ローソク足の反転パターンやサポート・レジスタンスと重なると転換シグナルとして非常に強力です。
③. トレンドフォローのフィルターとして活用
- トレンドが強いときは、MFIが80や20で張り付いたままになるケースもあります。
- そのため、MFI単独で逆張りを仕掛けるのは危険。
移動平均線やADXと組み合わせて、トレンドの強さを確認した上でMFIを補助的に使いましょう。
ストップロスと利食いの基準
- 損切り:エントリー根拠が否定されたとき(例:MFIが再び反対方向へ)
- 利確:MFIが反対のゾーンに達したとき、または傾きが変わったとき
利益確定・損切りの判断にもMFIの変化を活用できます。
MFIを使う上での注意点と限界
注意点 | 内容 |
---|---|
ティック出来高 | FXでは正確な出来高が取得できないため、MFIはティック出来高を使った参考値にすぎない。 |
トレンド中の張り付き現象 | 強いトレンド時は80・20ゾーンに張り付き続けるため、逆張りには注意が必要。 |
単体使用は避けるべき | RSI、MACD、ローソク足、サポート・レジスタンスなどと併用が前提。 |
期間はカスタマイズ可能 | デフォルトは14期間。バックテストして自分に合った数値を見つけることが重要。 |
まとめ|MFIはRSIの上位互換?出来高を活用した信頼性の高い指標
MFIは、RSIに似たシンプルな構造を持ちながらも、出来高という重要なファクターを加えることで、より信頼性のある判断材料を提供してくれます。
特に以下の場面で真価を発揮します。
- レンジ相場での逆張り判断
- ダイバージェンスによるトレンド転換の察知
- トレンドフォローのフィルターとしての補助判断
ただし、MFIは万能ではなく、補助的な役割で使うのが基本。FXにおける出来高の制限(ティックベース)を理解したうえで、他のインジケーターと組み合わせながら使えば、トレードの精度と勝率を大きく向上させることができるでしょう。