


ATR-Channels MTFとは
ATR-Channels MTF(エーティーアール・チャンネルズ・マルチタイムフレーム) は、ボラティリティ(価格変動の大きさ)をベースにチャネル(上下バンド)を描画するインジケーターです。
「MTF」とは「マルチタイムフレーム」の略で、上位時間足のトレンドを下位足に重ねて表示できる高機能バンド指標です。
ボリンジャーバンドが「標準偏差」で算出されるのに対し、ATRチャンネルは「平均的な値動き幅(Average True Range)」を用いるため、相場の実際の動きの強弱に応じてバンド幅が自動調整されるのが最大の特徴です。
インジケーターの基本構造と特徴
ATR-Channelsは、中央の移動平均線を基準に上下方向にATR値×係数分の距離でバンドを描きます。
これにより、価格が通常の変動範囲をどの程度外れたかを視覚的に確認できます。
主な特徴:
- ボラティリティを直接反映するチャンネル型バンド
- トレンドの強弱・加速・減速を視覚的に確認
- 上位足トレンドを下位足に重ねて分析可能(MTF機能)
- ブレイクアウト・反転・押し目買いポイントの判断に活用
パラメータ設定&解説

| 英語項目名 | 日本語訳 | 説明 / 使い方 | 設定値例 |
|---|---|---|---|
| TimeFrame | 時間足設定 |
インジケーターをどの時間軸で計算・表示するかを指定します。 「Current time frame」は現在開いているチャートの時間足を使用します。 MTF対応のため、上位足(H1、H4、D1など)を重ねて環境認識に使うこともできます。 |
Current time frame |
| PeriodsATR | ATR期間 |
ATR(Average True Range=平均的な値動き幅)を何本分のローソク足で計算するかを指定します。 値が小さいほどチャンネルが敏感になり、値が大きいほど安定します。 ボラティリティの根本的な強さを測る心臓部のパラメータです。 |
18 |
| MA_Periods | 移動平均期間 |
チャネルの中心線(ベースライン)を計算する移動平均の期間です。 数値を大きくするとノイズが減り、全体的な流れ(中期トレンド)を滑らかに確認できます。 49のような長め設定は「短期のブレよりも方向性重視」というスタイルに向きます。 |
49 |
| MA_type | 移動平均の種類 |
どのタイプの移動平均を使うかを数値で指定します。一般的なMT4/MT5の対応は下記の通りです: 0=SMA(単純移動平均) 1=EMA(指数平滑移動平均) 2=SMMA(平滑移動平均) 3=LWMA(線形加重移動平均) 設定値「3」はLWMA。直近の値動きにより強く反応するため、トレンドの変化を早めに捉えやすいのが特徴です。 |
3(LWMA) |
| Mult_Factor1 | 倍率1(内側バンド) |
ATRにこの倍率を掛けた距離で、最も内側のチャンネル(バンド1)を描画します。 このバンドは「平均的な揺れ幅の上限・下限」を示すため、押し目買い・戻り売りの候補ゾーンとしてよく使われます。 |
1.6 |
| Mult_Factor2 | 倍率2(中間バンド) |
2つ目のチャンネル(バンド2)の幅を決める係数です。 ここでは「3.2 × ATR」の距離に描かれるため、かなり大きめの値動きまでカバーします。 トレンドが継続しているか、それとも行き過ぎているかを判断する目安になります。 |
3.2 |
| Mult_Factor3 | 倍率3(最外側バンド) |
最外側のチャンネル(バンド3)の幅を決める係数です。 「4.8 × ATR」という非常に広いエリアが描かれるため、ここにタッチ・ブレイクする動きは “異常レベルの加速/過熱” とみなすことができます。 短期逆張りエントリーや利確ポイントの判断に使われます。 |
4.8 |
トレードでの使い方のヒント
- 価格が中心線より上+内側バンド(1.6×ATR)で反発 → 押し目買い候補。
- 外側バンド(4.8×ATR)にタッチ → 過熱ゾーン。反転の初動狙いまたは利確候補。
- TimeFrameを上位足にすると、下位足チャートでも大きな流れを視覚化できる(MTF環境認識)。
- MA_type=LWMAは初動検出が速い分、だましも増えるので、オシレーター(RSI/ストキャス)と併用すると精度アップ。
インジケーターの使い方
① トレンドフォロー
上昇トレンドでは価格が上バンド付近に沿って推移しやすく、下降トレンドでは下バンド沿いに動くことが多いです。
中心線(ミドル)を抜けたタイミングがトレンド転換の初動として注目されます。
活用例:
- ローソク足が上バンドを突破 → 強い上昇トレンド発生サイン
- ローソク足が下バンドを割り込む → 下落トレンド加速の兆候
② 逆張り・反転狙い
価格が外側バンド(ATRの限界値)にタッチまたはオーバーシュートした場合、過熱感が強く、反転の可能性が高まります。
逆張り戦略例:
- 価格が外バンドにタッチ
- RSIやCCIなどのオシレーターも過熱(70以上または30以下)
- ローソク足が中心線方向へ戻り始めたら反転エントリー
③ MTF(マルチタイムフレーム)分析
ATR-Channels MTFの最大の強みは「上位足のチャンネルを下位足に重ねて表示できる点」です。
たとえば:
- 1分足チャートに4時間足チャンネルを重ねる
→ 短期の動きと中期トレンドの方向が一目でわかる
→ 逆行トレードのリスク回避や、押し目・戻り売りの判断が容易に
MTF活用法:
- H4上昇トレンド+M15上抜け → 押し目買いチャンス
- D1下降トレンド+M30ミドル割れ → 戻り売りポイント
トレード戦略の具体例
🔸 トレンドフォロー型(順張り)
- 上位足(H4やD1)の中心線が上昇
- 下位足(M15やM30)がミドルライン上抜け
- ローソク足が上バンドに沿って推移
→ 押し目でロング、上バンド到達で部分利確
🔸 反転狙い(逆張り)
- 価格が外バンドをブレイク
- オシレーターが過熱領域
- 次の足で反発確認 → 反転方向に短期エントリー
→ 中心線までを利確目標に設定
メリット・デメリット
| メリット | デメリット |
|---|---|
| ボラティリティをリアルタイムで反映 | レンジ相場ではノイズが増えやすい |
| MTF機能により上位足トレンドを確認可能 | バンド設定が広すぎると機会損失に繋がる |
| トレンドと反転、両方向の戦略に対応 | 他指標との併用が前提(単独ではダマシあり) |
まとめ
ATR-Channels MTFは、単なるバンド指標ではなく「市場の勢い・強弱・方向性」をボラティリティから読み解くためのツールです。
マルチタイムフレーム対応により、上位足と下位足のトレンドを同時に把握できるため、初心者〜上級者まで幅広く活用できます。










